技術説明

レベルセンサの用語を説明します。

用語の説明

レベルスイッチやレベル計といったセンシング機器のカタログには、専門的な、
一見すると難しい用語が記載されていることがあります。
そういう用語や規格の中には、機器を安全に使用する為の重要な情報が込められている場合もあります。また、現場に合った最適な製品を導入する為に、細かい仕様の確認は必要不可欠になります。

このページでは、そのような専門的な用語や基本的な概念の一部についてご紹介します。

レベルセンサ選定の為の基本的用語

測定物(液体)について

測定物(液体)について

液体はレベル計測の中でも最も計測されることが多いもので、「流体」と呼ぶ場合もあります。
ここでは、液体の中でも「粘性液体」と「腐食性液体」、及び、「液体の電気的特性」について説明します。

粘性液体・スラリー・スラッジとは?

粘性液体とは、粘りのある、センサ部に付着しやすい液体のことを意味します。
粘性が強いものの中には接着剤や水飴などが挙げられますが、接着剤ほどの強い付着性は無くても、
センサ部に付着が残りやすい液体に関しては粘性液体と呼ぶことにします。

また、粘性液体の別称として、「スラリー」「スラッジ」という呼び方もあります。

  • スラリーとは、粘性液体、又は、粉が混ざった液体のことです。
  • スラッジとは、工場排水や下水処理によって形成される汚泥のこと、もしくはタンク内の沈殿物のことです。
    (場合によっては単なるスラリーを意味することもあります)
腐食性液体とは?

腐食性液体とは、塩酸・硫酸・硝酸・その他化学薬品などのような、
化学反応によってセンサ部の金属材質を表面から変質・消耗させる可能性のある液体のことです。

液体の電気的特性について

液体はその電気的特性から導電性、半導電性、絶縁性に分けられます。以下、弊社独自の見解に基づく数値です。

  • 導電性液体とは、水など導電率20μS/cm以上の電気を通す液体のことです。
  • 絶縁性液体とは、油など導電率1μS/cm以下の電気を通さない液体のことです。
  • 半導電性とは、アルコールなど導電率1~20μS/cm(導電性液体と絶縁性液体の中間程度)の液体のことです。

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測定物(粉・粒・塊体)について

測定物(粉・粒・塊体)について

「粉体」「粒体」「塊体」は、一般的にはそれを構成する一つ一つの粉粒の大きさによって分けることが多いです。

粉体、粒体、塊体の区別

具体的にどの程度の大きさが粉体、粒体に該当するかの明確な区別は存在しませんが、1mm近辺を境としてそれより細かいものを粉体,粗いものを粒体と呼ぶ場合が多い様です。塊体は粉体よりも更に大きく石ころ位の大きさ以上の塊(かたまり)を呼ぶ場合が多いです。

見掛比重や粉じんについて
  • 比重・見掛比重とは、粉粒体の単位体積あたりの質量のことです。かさ比重とも呼ばれます。一般的に、見掛比重が小さい(すなわち、軽い)とレベル検出・計測が難しくなります。
  • 粉じんとは、空気中に浮遊する物質や固体の粒子のことです。この粉じんがタンク内に舞っていると、誤計測や誤動作を起こす可能性が高くなります。

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その他、選定の為の用語について

レベルセンサの選定には、様々な専門用語が使用されますが、下記にその一部を説明いたします。

接続部とは?

センサをタンクや容器に取り付ける際に接続する部分や方式、規格を「接続部」と呼んでいます。

  1. フランジ接続
    フランジ接続
    「フランジ」と呼ばれるタンク穴のサイズと合った円筒形の平板をボルトとナットで結合することでセンサをタンクに接続します。これらフランジの厚みやボルトの太さなどは規格があり、国内ではJISフランジやJPIフランジがよく使用されますが、たまに別の規格も存在します。
  2. ネジ接続(ねじ込み接続)
    ネジ接続(ねじ込み接続)
    タンクにネジ穴がきってあり、センサを回転させてねじ込んで接続します。ネジの規格も様々なものがあります。大きく分けて、「テーパーねじ」と「平行ねじ」に分けることが出来ます。
    • テーパーねじ:Rねじ(PTねじ)とも呼びます。斜めの形状(ねじの先端部分の外径より終わりの部分の外径が大きくなっています)でシール性を必要とする部分に使用されます。
    • 平行ねじ:Gねじ(PFねじ)とも呼びます。平行の形状で機械的な接合を主な目的とする部分に使用されます。
  3. へルール接続
    へルール接続
    食品や飲料分野等において使用される接続方法です。
    内部に液溜りや段差が無く洗浄性が高いことが特徴です。また配管の組立がクランプで行えるため、特別な工具が無くても簡単に取り外しできます。
可動部とは?

可動部とは、センサ部分について、動かすことができる機構や動く機構がある箇所(部分)を意味します。駆動部と呼ぶ場合もあります。
可動部のあるレベルセンサは、パドル式・フロート式・サウンジング式などが挙げられます。これら可動部があるレベルセンサの特長として、機械的な原理が多い為、一般的に安価である場合が多いのですが、メンテナンス性が悪い(定期的にメンテナンスを行う必要がある。部品交換が必要になる等)という欠点もあります。

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保護等級IPについて

保護等級IPとは?

保護等級IPとは、機器の防塵や防水に関する保護を規格化したもので、IEC(国際電気基準会議)規格で、規定されている機器の保護等級を記号で表したものです。保護等級は、IEC及びJIS(日本工業規格)の2つの規格に基づいています。

2種類の規格の違い
日本工業規格の保護等級(JIS C 0920)
日本工業規格にて規定された防水防塵のランクによる等級。
IECにて定められた基準(IEC 60529)
人体及び固形物に対する保護等級。
IECにて定められた保護等級(IP code)
水の浸入に対する保護等級。

IPコードの読み方は、意外とシンプル?

一見複雑そうに見えるIPコードですが、読み方はシンプルです。基本的には、「人体及び固形異物(粉塵等)に対する保護」である第1記号と「水の浸入に対する保護」である第2記号から構成されています。

「IP68」の場合、第1記号である「6」は固形異物(粉塵等)に対する保護等級を、第2記号である「8」は水の浸入に対する保護等級を意味しています。
また、どちらかの保護等級を省略する場合は「X」を記載します。

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保護等級IPの記号について

保護等級IPの記号について
第1記号説明:人体及び固形異物に対する保護
記号 種類 保護の程度
0 無保護 特には保護されていない。
1 50mmより大きい
固形物に対する保護
人体の表面積の大きな部分、例えば手などが誤って内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。直径50mmを超える固形物体が内部に侵入しない。
2 12.5mmよりも大きい
固形物に対する保護
指先、または長さが80mmを超えない指先類似物が内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。直径12.5mmを超える固形物が内部に侵入しない。
3 2.5mmよりも大きい
固形物に対する保護
直径または厚さが2.5mmを超える工具やワイヤなどの固形物体の先端が内部に侵入しない。
4 1.0mmよりも大きい
固形物に対する保護
直径または厚さが1.0mmを超えるワイヤや銅帯などの固形物体の先端が内部に侵入しない。
5 防塵形 粉塵が内部に侵入することを防止する。若干の粉塵の侵入があっても正常な運転を阻害しない。
6 耐塵形 粉塵が内部に侵入しない。
第2記号説明:水の浸入に対する保護
記号 種類 保護の程度
0 無保護 JIS C 0920 特には保護されていない。
1 滴下する水に対する保護 JIS C 0920 鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。
2 15°傾斜したとき
落下する水に対する保護
JIS C 0920 正常な取付位置より15°以内の範囲で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受けない。
3 噴霧水に対する保護 JIS C 0920 鉛直から60°以内の噴霧水に落下する水によって有害な影響を受けない。
4 飛沫に対する保護 JIS C 0920 いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない。
5 噴流水に対する保護 JIS C 0920 いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない。
6 暴噴流に対する保護 JIS C 0920 いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても内部に浸水の形跡がないこと。
7 浸漬に対する保護 JIS C 0920 規定の圧力、時間で一時的に水中に浸水しても内部に浸水の形跡がないこと。
8 水没に対する保護 JIS C 0920 製造者によって規定()される条件に従って、連続的に水中に置かれる場合に適する。原則として完全密閉構造である。
※ 山本電機工業株式会社 試験規定
水圧0.3MPa下で10時間水中に沈め、これを4回繰り返し、水の浸入がないこと。
ケース蓋及びケーブル取出し口は弊社規定により適切に処置するものとする。

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フェイルセーフ機能について

不測の事態が起こっても、被害を最小限に抑えます。

フェイルセーフ機能とは、計測機器に故障や不具合といった不測の事態が起こった際に、被害を最小限に抑えることを目的とした機能です。下記では、弊社製品(静電容量式レベルスイッチYALと振動式レベルスイッチCV)を例に挙げて、フェイルセーフ機能について説明します。

静電容量式レベルスイッチYAL型のフェイルセーフモード

本体に電源が供給されなくなった場合や故障した場合、常に安全方向への出力を維持することが可能です。下限用と上限用の設定があります。

静電容量式レベルスイッチYAL型のフェイルセーフモード

※YAL/YAEシリーズは標準でFSL、オプションでFSHで出荷することができます。

振動式レベルスイッチCV型のフェイルセーフモード

ご要望のフェイルセーフモードに応じて、上下限どちらでも使えるようにスイッチを内蔵しています。

振動式レベルスイッチCV型のフェイルセーフモード

※CV/SHTシリーズすべて出荷時はFSL(ローレベル)に設定しています。

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防爆構造について

防爆構造と規格について

些細な火花が爆発につながらないように、考え抜かれた構造です。

工場やプラント等で扱われる可燃性ガス・蒸気などは大気に漏洩すると、空気と混合して爆発性雰囲気を形成します。このような危険場所で、センサ機器を使用する場合には、センサ機器についても、可燃物の着火源とならないように特別な技術的対策を講じた構造で製造する必要が生じます。 このような構造を有する機器を防爆機器と言います。

規格について

防爆機器には、労働省によって電気機器の防爆構造に関する規格が定められています。

1.電気機械器具防爆構造規格(労働省告示第16号)

昭和44年に制定され、「d2G4」などの表記がされます。
日本国内の古い防爆機器は、こちらが適用されています。

表記方法の例
i3aG4
1桁目は防爆構造の種類(dは耐圧防爆、iは本質安全防爆)
2~3桁目は爆発等級(1、2、3a、3b、3c、3nにて分類)
4~5桁目は発火温度の等級(G1~G6の6種で分類)
d2G4
1桁目のdは防爆構造の種類「耐圧防爆構造」を表し、
2桁目は爆発等級の2を表し、
3~4桁目は発火温度の等級G4を表しています
2.技術的基準(IEC規格79関係)

昭和63年(平成8年改正)に、IEC(国際電気基準会議)が定め
た国際規格(IEC79)との整合を図るために制定されたもので、
「ExiaII BT6」などの表記がされています。

表記方法の例
ExiaIIBT6
1~2桁目のExは技術的基準の防爆記号
3~4桁目は防爆構造の種類(dは耐圧防爆、iaは本質安全防爆)
5~6桁目は爆発等級(II、IIA、IIB、IICにて分類)
7~8桁目は発火温度の等級(T1~T6の6種類で分類)

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防爆規格の種類について

いくつかある防爆規格の中で、特に弊社製品に関係する防爆規格をご説明いたします。

1.耐圧防爆構造

着火源となる電子機器を入れる容器そのものに防爆性能を持たせることで、容器内部で爆発した場合でも、容器の外部に爆発が及ばないようにした構造(全閉構造)です。内部爆発に耐えられるように容器の耐久力の強化と容器の隙間から火花などが漏れないようになっています。

2.本質安全防爆構造

低圧電子機器が該当し、電子回路において発生する電気火花が着火源として作用しない(または高温にならないような低い値)構造です。防爆仕様の電子回路設計により、危険な火花や高い熱が発生しないようになっています。

さらに…
防爆規格の種類としては、油入防爆構造(電気火花が発生する箇所を油中に収めて引火させない構造)、内圧防爆構造(容器内部に気体を圧入し、引火させない構造)、安全増防爆構造(より安全性を高めた構造)などの種類があります。

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フリー電源について

工場やプラント等で使用される電源は、場所によって異なります。
フリー電源が搭載されているセンサ機器は様々な電源電圧に対応しますので、世界中の国や地域でセンサ機器をお使い頂く事ができます。また、不安定な電源環境下においても安定した計測が可能となります。 通常のセンサ機器は、日本の一般的な電圧に対応したAC100V又はAC200Vの固定電圧で稼動するものが多いのですが、世界の国の多くでは、日本と異なる電圧を使用しています。また、機械装置などではDC24Vなどの直流電源を使用している場合もあります。電源が異なると別途変換器を使用したり、オプションで機器を改造する必要性が生じます。

フリー電源の必要性

日本国内で使う分にはあまり問題は無いと思われがちですが、国内のユーザーであってもプラントや機械装置を輸出する場合が多く、また、不安定な電源事情下で使用する可能性もあるため、フリー電源はセンサ機器においても必要な機能になってきております。

AC/DCワイドレンジのフリー電源

当社の製品(静電容量式レベルスイッチYAL型、振動式レベルスイッチCV型)では、AC/DC20 ~250Vの広範囲フリー電源を採用しています。広範囲のため、世界のほとんどの国や地域で使用可能です。欧州諸国を始め、世界中のラインに対応します。

世界各国の電源事情について

下表では、世界の主要な国で使用されている電源・電圧についてご紹介いたします。参考にご覧ください。

下記の数値は、時期(年代)や実際の地域(都市など)によって異なる場合がございますので、参考程度にお考えください。

地域 国名 家庭用(V) 工場用(V) 周波数(Hz)
アジア 日本 単相 100/200 三相 200 50/60
韓国 単相 110/220 三相 200/220/380 60
中国 単相 220 三相 220/380 50
台湾 単相 220 三相 220/380 60
インド 単相 230 三相 230/400 50
オセアニア オーストラリア 単相 240 三相 240/415 50
ニュージーランド 単相 230 三相 230/400 50
北米・南米 アメリカ合衆国 単相 120/240 三相 120/208/240/265/277/460/480 60
カナダ 単相 120/240 三相 120/208/240 60
ブラジル 単相 127 三相 127/220 60
アルゼンチン 単相 220 三相 220/380 50
ヨーロッパ イギリス 単相 230 三相 230/400 50
イタリア 単相 220 三相 220/380
ドイツ 単相 230 三相 230/400 50
フランス 単相 230 三相 230/400 50
ロシア 単相 127/220 三相 220/380 50
中近東 サウジアラビア 単相 127/220 三相 220/380 60
イラン 単相 230 三相 230/400 50
アフリカ エジプト 単相 220 三相 220/380 50

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